2021年4月から科学研究費(基盤研究C)により始めました。
本研究の目的は、療法士が「障害受容」の使用法を切り口とした「内省」により、「障害の社会モデル」の必要性に気づき(研究①)、実践可能な教訓を導き出し(研究②)、「障害の社会モデル」の視点を反映した「実践」を行い、「実践」の省察を通して「経験」に根づかせること(研究③)が可能となる「障害の社会モデル」を重視したリハビリテーションのための内省型研修プログラム開発(研究④)となります。
本研究は「障害の社会モデル」を重視したリハビリテーションのための内省型研修プログラム開発を目的としています。
これまで療法士(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)の障害理解が対象者個人の側に問題を発見し変容を求める「障害の個人モデル」に偏重している問題が指摘されてきました。
現場の療法士が近年の障害理解の基本概念となる「障害の社会モデル」を実践に活かせることにより、対象者の障害経験から学ぶ態度を持ち、障害に肯定的価値を見出し、対象者が意味を感じる社会参加のための社会変容がリハビリテーション支援として定着できると考えています。
「障害の社会モデル」とは、「障害は、社会が障害のある人にもたらす不利益と捉え、障害の肯定性と社会の多様性を重視する障害概念」である。イギリスの障害当事者であり障害学者であるMichael Oliverが提唱したものです。
日本では、2014年に障害者権利条約を批准し、2016年より障害者差別解消法が施行されましたが、条約の障害概念である「障害の社会モデル」が採用され、差別禁止と合理的配慮の必要性が定められています。
2001年にWHO(世界保健機関)で承認・施行されたICF(国際生活機能分類)は「医学モデル」と「社会モデル」の「統合モデル」とされ、「障害の個人モデル」に偏重したリハビリテーションから、心身機能・身体構造のみならず、活動や参加にも着目し、「障害の社会モデル」を含み入れた点が評価されています。しかし、当事者学である障害学の分野からは、社会的不利益の原因を個人に見出す「障害の個人モデル」を脱却したとは言い難いという指摘もあります。
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